2011年 1月 15日(土)午前 0時 11分
旅行疲れなのか、仕事になれないことからくる疲れなのか、かなり朝からきつかった一日。今日は、まず、朝9時半をお出かけの目安にして、文楽を観に行ってまいりました。本日の演目は、次の通りです。「ひばり山姫捨松〜中将姫雪責の段〜」「傾城恋飛脚〜新口村の段〜」「小鍛冶」。「ひばり山姫捨松」は、中将姫の物語。帝の位をめぐる争いの中に引き込まれてしまった中将姫が、継母から折檻を受ける段。その折檻が、雪中で行われるものだから、この時期に上演されるのが習わしとか。だけど、この段だけだと、折檻が見せ場という、ちょっとサディスティックなもの。最後は、侍女の発案で、辛うじて逃げ仰せるというもの。中将姫が死んでも致し方ないと述懐する父親って、今じゃ通用しないですね。えらい心性のまかり通る話です。そして、中将姫の逃亡先が雲雀山という仕掛けです。切りの太夫さんは、お待ちかねの嶋太夫さんだったのですが、どうも、嶋太夫さんの勢いが落ちてきていると感じ始めてたのですが、今日も、そう感じたのが、残念でなりませんでした。「新口村の段」は、つい3年前の1月公演に出たばかり。他でも頻繁にかけるのだから、ちょっとくらい、本公演では間を開けて欲しいものです。やはり、前半の、バタバタと人が行き交うシーンと、後半の梅川忠兵衛と父親との邂逅とのコントラストが、良くできた作品です。切りは、綱太夫さんでしたが、やっぱりおじいちゃんでした。「小鍛冶」は、昭和の作品。能「小鍛冶」の完全なパクリです。違うのは、前半が、童子ではなく翁であること、前半には勅使が出ないのだが、後半には、刀作りの場にいること、能では下居の状態で、歴史に残る名刀譚が語られるのですが、文楽では動き回る、後半、相槌を打った稲荷明神が、そのあとは、狐足で動き回るという見せ場を作るというとなっている。細かな部分は置いておくと、そないな具合で、一種の祝言物と言えばいい作品でしょうか。今日は、行く前に予想されていたのですが、ダウンの連続。体全体が重いままの文楽鑑賞でした。ただ、珍しい方にお会いできたのが嬉しかった出来事でした。
文楽が終わったのが、2時半にもなっていませんでした。あっさり味だっただけではなく、時間も短い。夜の部は、7時半からでしたので、時間調整に、まず、1時間ちょいのミニウォーキング。アメリカ村を抜け、阿弥陀池筋まで行き、千日前まで引き返してきました。そして、3時間パックで、ネットカフェに入り、時間調整。ここで、軽い睡眠をとるつもりが、ずっとネットサーフィン。目が疲れただけでしたが、少し体を動かしたのが良かったみたいで、夕方からは、だいぶと元気が回復していきました。そして、夜は、應天院であった「満月動物園」という劇団の「太陽物語」という芝居を観に行ってきました。以前から、劇団探しの中で引っ掛かっていた劇団の一つですが、公演日にうまく合わせられず、今回が初めての遭遇となりました。クローン技術を盛り込んだSF的作品なのですが、自分探し的な要素のある作品で、こんなのをやってみようという劇団があるんだということだけで、ちょっと嬉しくなってしまいました。クローンですから、コピーと本体があるわけで、ここんところを、上手く使って、観る者の混乱を生み出す操作なんか、嬉しかったですね。人が人となる、それは、幾つもの自分殺しを行い、人格が固まっていく、ありきたりと言えばありきたりかもしれませんが、それを、クローン同士の殺戮という現象として見せるという着想もおもしろかったな。アイデアに満ちています。そして、それをおもしろく見せる意欲を感じましたが、まだまだグレードアップする可能性を感じたということは、この公演自体が、成長の途中ということなのかもしれません。客演も、小劇場界で、よく見かける達者な役者さんを集め、好演。役者の動きは稚屈かな。ここが踏ん張りどころ。場面転換の多さもウィークポイントと看ました。でも、その場面転換に使われたアルゼンチン・タンゴが新鮮で、次の場面への期待を膨らませる効果がありました。自分的には、ブックマーク入りの劇団です。
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