2014年 9月 11日(木)午後 11時 51分
えらく涼しくなりました。秋の雰囲気が、一段と進んだ感じがします。夕方の気温の下がり方は半端ではありませんでした。今日の夜遊びは動楽亭。「生喬百席 第十一夜」があった日ですから、外すわけにはいきません。その番組は、次のようなものでした。生喬「須磨の浦風」、松五「腕喰い」、(中入り)、生喬「天王寺詣り」。まず生喬の話は、当然のことのように、彦八まつりからスタート。松喬一門の店の話から実行委員としての仕事へと展開。なかでも実行委員に入ったきっかけの話が傑作。雀喜を実行委員に引き込んだ話も、なかなか印象的でした。ネタの一つ目「須磨の浦風」は、真夏の噺。鴻池が紀州の殿さんを迎える趣向に、涼しいと評判の須磨の浦風を用意するのだがという噺。とってもレアなネタ。黄紺は、この噺を、六代目の生の口演で聴いているというのが、自慢の一つです。ゲスト枠は松五。生喬との思い出話というのは、意外と生喬の大ボケの話。あまり生喬のイメージからはわき上がらないもの。ネタは、生喬の持ちネタにないものから。但し、昨日会った生寿のアドバイスをもらったとか。生寿は、「腕喰い」と「足上り」を薦めたとか。それを聞いて、「腕喰い」をと念じました。「足上り」は、他の会での口演を聴こうと予定していたためで、ここで聴いてしまうと、予定が狂ってくるからです。そしたらセーフでした。この噺、後半は怪談調になります。前半の若旦那の陽気な噺と、雰囲気がガラッと変わるところに、この噺のダイナミズムがあります。が、やはり松五のキャラは、どうしても陰性なものですから、この変化が乏しいのです。ちょっと無い物ねだり的なことを書いていますが、でも、このネタに取り組むには、前半の雰囲気なんでしょうね。元々、林家で伝わってきたネタで、演じ手が稀というほどではないのですが、なかなか実際の落語会にかからないネタです。もちろん松五の口演では、初めてのものでした。「天王寺詣り」は、師匠松喬直伝のもの。この高座では、生喬のイメージが吹っ飛ぶような穏やかで、古風な雰囲気が漂っていました。ま、噺自体が、天王寺に行ったことのない人たちに、天王寺を紹介するという風情の噺。しかも、噺の構成はウォーキング・ツアー形式を取っているというもの。ですから、今日の生喬の口調が、とってもしっくり来てしまいました。「天王寺詣り」のベストとして、雀三郎の口演と並べて上げてもいいのじゃないかとさえ思いました。行けなかった前回の会が、ゲストに南天が出たこともあって、入場者数の最高を記録したそうだったのですが、今日は、松五がゲストで、1人超えたそうです。もうこの事実を、生喬が報告しただけで、会場は大受けでした。
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